2008/11/19

日本語版で UTC は罪つくりか?-- 毎日新聞の誤報から

毎日新聞「ウィキペディアで犯行示唆」と誤報、実際は事件後の記述
Internet Watch - 2008-11-19

先日、毎日新聞が元厚生事務次官宅での犯行について「ウィキペディアで犯行示唆」があったとの記事を載せた。これはウィキペディアにおける時刻表示が UTC であることに毎日新聞の記者が気づかず、編集を事件前の犯行示唆ととりちがえたために起こった。毎日新聞はこの誤報について撤回とお詫びを掲載している。

記者・編集部のリテラシーとウィキペディアにおける速報についてはここでは触れないことにする。今回は日本語版プロジェクトにおける標準時について考えてみた。

日本語版ウィキペディアでの JST 採用は一度提案されたが、「ユニバーサル標準」を重視する意見などもあり、見送られたと記憶している。個人的には UTC は建前上は世界標準だが、実際問題としては数ある地域標準時の一つに過ぎないと考える。日本語版であって日本版ではないということはもちろん承知だが、日本語版で JST を採用することにどちらかと言えば賛成だ。英語を主要言語とする国はイギリス、アメリカ、オーストラリアなど世界中に広く散在するので、英語版では UTC が自然に、あるいは消去法的に選択されるだろう。一方、ドイツ語版やフランス語版では中央欧州標準時 CET を採用しているなど、最もアクセスの多い地域の利便性を重視するのもまた自然だと思う。UTC は日本に住んでいる人にとっては不自然で不便だ。ログインユーザはオプションで時刻設定が可能なので普段はあまり気にならないが、署名の時刻は日本時間-9になるし、特定版削除の際は混乱の原因となる。日本語版での UTC と JST ではメリットとデメリットのどちらが大きいだろうか。

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